消費者の購買意欲を高めるキャッシュバックキャンペーン ~基礎知識とその効果~
キャッシュバックキャンペーンは、商品購入代金に対する一定額を購入者に返金するキャンペーン施策で、消費者の購買意欲を刺激し、売り上げを促進する効果があります。
そこでこれから3回に分けて、キャッシュバックキャンペーンについて解説していきます。第1回であるこの記事では、キャッシュバックキャンペーンの基本的な仕組みとその効果、注意点について解説します。キャッシュバックキャンペーンを計画する際に必ず押さえておきたい基礎知識がまとまっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
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消費者の購買意欲を高めるキャッシュバックキャンペーン(全3回)
第1回 基礎知識とその効果 ※本記事です
この記事の目次[非表示]
- 1.キャッシュバックキャンペーンとは
- 1.1.キャッシュバックキャンペーンの種類
- 1.2.キャッシュバックの方法
- 2.キャッシュバックキャンペーンの効果
- 2.1.購買意欲の向上
- 2.2.ブランド認知度の向上
- 2.3.価格維持とブランドイメージ向上
- 2.4.市場データの収集
- 3.キャッシュバックキャンペーンにおける注意点
- 4.まとめ
キャッシュバックキャンペーンとは
キャッシュバックキャンペーンは、消費者が商品やサービスを購入した後に、一定の手続きを経て、購入金額の一部または全部を返金するキャンペーン施策です。
この手続きには、レシートなどの購買証明や、対象商品が家電製品などであればメーカーが発行した保証書の提出、応募フォームの記入などが含まれます。
キャッシュバック金額の設定は、購入金額の一定割合や固定額のもの(例えば、1000円の商品を購入すると200円のキャッシュバック)や、抽選結果によってキャッシュバックの金額が変動するものなど、キャンペーンの内容によって異なります。
キャッシュバックキャンペーンの種類
キャッシュバックキャンペーンには、キャッシュバックの金額と対象により、以下のように分類することができます。
キャッシュバックの割合による分類
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全額キャッシュバックキャンペーン
購入金額の全額を返金するキャンペーンです。初回購入者向けや、新製品の試用を促す際に利用されることが多いです。
部分キャッシュバックキャンペーン
購入金額の一部を返金するキャンペーンです。一般的には、購入金額の10%から30%程度の返金が行われます。
キャッシュバック対象による分類
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応募者全員対象のキャッシュバック
応募者全員がキャッシュバックを受け取れるキャンペーンです。参加者全員にメリットがあるため、高い参加率が期待できます。一方、様々なフォローや対応が適切に行われないとクレームに発展してしまうことも考えられます。また、応募者数によってキャッシュバック金額が変動するため、予算管理が難しいという特徴があります。
当選者のみ対象のキャッシュバック
応募者の中から抽選で当選した人だけがキャッシュバックを受け取れるキャンペーンです。参加者全員にキャッシュバックを提供するのが難しい場合に効果的です。
キャッシュバックの方法
キャッシュバックの提供方法にもいくつかのパターンがあります。代表的な方法として以下のものがあります。
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ATM受取サービス
企業から個人への送金を、ATMとコンビニのレジで受け取ることができるサービスです。受取人の口座情報が不要であり、全国の対象ATMとコンビニのレジで受け取れる手軽さが特に魅力です。システム利用に関する各種費用や、利用のための手続きが必要となります。
銀行振込
受取人の銀行口座に直接キャッシュバック金額を振り込む方法です。信頼性が高いですが、受取人の口座情報を管理する作業や、振込手数料が発生します。郵便為替や現金書留
受取人の住所に郵便為替や現金書留を郵送する方法です。郵送するための作業に手間が掛かるだけでなく、受取人が不在だとキャッシュバックの受け取りができない点は大きな課題です。電子マネー
電子マネーをキャッシュバック金額分プレゼントする方法です。キャッシュレス決済が普及している現代において、利用者にとって便利な方法です。賞品のインパクトとしては現金より小さくなります。ポイント還元
企業の独自ポイントや提携先のポイントとしてキャッシュバック金額を還元する方法です。ポイントプログラムとの連携により、顧客のロイヤルティを高める効果があります。商品券やギフトカード
指定された商品券やギフトカードとしてキャッシュバックを行う方法です。消費者にとって実物のメリットを感じやすいですが、特定の店舗でしか利用できない場合があります。郵便為替や現金書留同様、郵送作業の手間や、受取人が不在時の対応が課題です。
キャッシュバックキャンペーンの効果
キャッシュバックキャンペーンのもたらす効果は多岐に渡りますが、代表的なものとして次のことが考えられます。
購買意欲の向上
キャッシュバックキャンペーンは、消費者に対して実質的な値引きを提供するため、購買意欲を高める効果があります。特に高額商品や新製品の購入を検討している消費者にとって、キャッシュバックは大きな購買動機となります。また、消費者は「お得感」を感じることで、購買を即決する可能性が高まります。
ブランド認知度の向上
キャッシュバックキャンペーンは、消費者に対して強力なインセンティブを提供するため、広く認知されることが多いです。キャンペーンを通じてブランド名や製品名が消費者の記憶に残りやすくなり、長期的なブランド認知度の向上にも寄与します。特にSNSや口コミでの拡散が期待できるため、広範囲にわたるプロモーション効果が期待できます。
価格維持とブランドイメージ向上
商品やサービスの安易な値下げは、消費者に「安くて当たり前」という印象を与えてしまいます。しかし、キャッシュバックキャンペーンという形を取れば、価格を維持しながら消費者に対してお得感を演出でき、ブランドイメージを保つことができます。これにより、消費者は品質の高い商品やサービスが適正価格で提供されていると感じ、ブランドへの信頼が高まります。
市場データの収集
キャッシュバックキャンペーンを通じて、企業は消費者の購買行動や嗜好に関する貴重なデータを収集することができます。例えば、どの商品がよく売れているか、どのような消費者層がキャンペーンに参加しているかなどの情報が得られます。これらのデータは、今後のマーケティング戦略の策定において重要な参考資料となります。
キャッシュバックキャンペーンにおける注意点
高額なキャッシュバックをおこなうキャンペーンでは、不正応募の可能性が高くなるため、通常のキャンペーン以上に工夫が必要です。
また、キャッシュバックキャンペーンを行なうにあたって関連法などの確認や、消費者に誤解・不公平が生じないように配慮することが必要です。
不正応募の対策
キャッシュバックキャンペーンは、家電などを対象商品とすることが多く、キャッシュバックの金額も比較的高額になります。そのため、購買証明としてレシートのみを登録して応募する方法だとレシートの使いまわしや加工などによる不正応募が多くなります。
このような不正応募を防ぐための有効な対策として、レシートだけでなく保証書や購入商品現物の画像など、購入の証拠となる画像を複数登録して応募する方法があります。
登録された画像から製造番号を確認できれば、応募情報のユニーク性を担保できます。 また、より厳密に不正応募の対策をするということであれば、保証書に記載されている製造番号が実際にメーカーから出荷された製品の製造番号と一致するかを確認するということも可能です。
景品表示法
「値引き」と認められる経済上の利益の提供(キャッシュバック)は、「景品」と見なされず、景品表示法の規制を受けません。
ただし、ひとつのキャンペーンで応募者がキャッシュバックとそれ以外の賞品を自由に選べる場合や、抽選に当たった人だけをキャッシュバックの対象とするキャンペーンなどは景品表示法の規制対象となります。
景品表示法の景品に該当する場合は、キャッシュバック金額の上限額が決まっており、それを越えない金額設定にする必要があります。また、キャンペーンの期間においても、有利誤認表示(商品を不当に安く見せかける )と見なされないようしなければなりません。
キャンペーンの準備段階で法務確認をしておくのが良いでしょう。
その他の注意点
賞品の金額設定だけでなく、キャッシュバックキャンペーンの内容や条件が、消費者に分かりやすく伝わるよう不明瞭な表示や誤解を招く表現は避けることも重要です。
キャッシュバックの対象者や条件について、特定の消費者に不利益が生じないよう公平に設定するなど配慮しましょう。
まとめ
キャッシュバックキャンペーンは、消費者の購買意欲を高め、ブランド認知度を向上させる効果的な手法です。適切な設計と運用により、企業はその効果を大きくするとともに、市場データを収集することができます。ただし、不正応募対策の工夫や、景品表示法・その他の注意点を守りながら実施することが重要です。
なお、「初めてキャッシュバックキャンペーンを開催する」 「キャッシュバックキャンペーンに適したシステムを探している」という方は、ぜひデジタルラインまでご相談ください。