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販促キャンペーンのKPI(目標応募数)算出ロジックと業界平均ベンチマーク

販促キャンペーンのKPI(目標応募数)算出ロジックと業界平均ベンチマーク

企業の販促担当者や広告代理店のプランナーにとって、キャンペーン企画時に最も頭を悩ませるのが「目標応募数(KPI)の設定」ではないでしょうか。
「予算内で何件の応募が見込めるのか?」「その目標値の根拠は何か?」
こうした問いに対し、単に広告予算をCPA(獲得単価)で割るだけの計算では、現代の複雑なデジタルマーケティング環境には対応できません。

本記事では、広告(Paid)とデジタル自社資産(Digital Owned)に加え、メーカー最大の武器である「店頭・商品(Physical Owned)」を統合した、精緻なシミュレーション手法を徹底解説します。

なぜ「広告予算」だけの計算では失敗するのか?

従来型のシミュレーションは(例:「予算100万円 ÷ CPA1,000円 = 1,000件」)という単純なものでした。しかし、これには以下のような致命的な欠陥があります。

  • 自社資産の過小評価:LINEフォロワーやメルマガ会員、Webサイト訪問者など、コスト0円でアプローチ可能なリストが考慮されていない。

  • 「店頭」という最大メディアの見落とし:スーパーやドラッグストアの来店者数は、Web広告のインプレッションに匹敵するが、対象外となっている。

  • 代替策の欠如:予算が削減された場合、広告量を減らすしか手がなく、他手段による補完(自社SNSや店頭施策)が想定されていない。

  • 間接効果の無視:広告による指名検索・ビュースルーなどの相乗効果が加味されていない。

こうした課題を克服するために必要なのが、PESOモデルを拡張した「3階建てモデル」によるKPI設計です。

 

目標算出のための「3階建て構造」とは?

現代のキャンペーンKPIは、以下の3要素を積み上げて構築します。

目標応募数 = ① デジタルベースライン + ② リアルベースライン + ③ 広告リフト
 
  • ① デジタルベースライン(Web/SNS):
    公式サイト、LINE、メルマガなど既存デジタル資産による応募数の試算。
  • ② リアルベースライン(店頭/商品):
    店頭POP、商品パッケージ、同梱チラシなどの物理チャネルからの応募数。
    営業部門・商品部門の努力領域でもある。
  • ③ 広告リフト(Web広告):
    ①②の合計で目標に届かない分を、有料広告で補填する「購入型チャネル」。

 

【STEP 1】デジタルベースラインの試算

まずは広告費をかけずに獲得できる「自社資産」からの流入数を見積もります。
既存のデジタル接点からの応募を数値化します。

計算式例:

  • Web:月間PV × バナーCTR(0.3〜1.0%) × CVR
  • LINE:友だち数 × 配信CTR(5.0〜15.0%) × CVR
  • メルマガ:配信数 × 開封率(20%) × クリック率(3%) × CVR
【ポイント】
 LINEは即効性が高いですが、配信後のブロック増も考慮する必要があります。

 

【STEP 2】リアルベースラインの試算(店頭・商品)

Web広告とは異なり、「物理的に目にする人数」から「二次元コードを読み込む人数」を推計します。

① 店頭POP(棚帯・スイングPOP・ポスター)

スーパーやドラッグストアの店頭に設置される販促物です。

計算式:展開店舗数 × 1店舗あたり平均来客数 × POP設置率 × 二次元コードスキャン率

  • 1店舗あたり来客数(日次)
    スーパーなら 1,500〜2,500人 程度。
  • POP設置率(営業努力)
    本部商談で導入が決まっても、現場で設置できないケースを考慮し 60%〜80%で計算します。
    ※「営業が頑張って設置率を10%上げれば、応募が〇〇件増えます」など、営業部門のモチベーションを高める材料に使えます。
  • 二次元コードスキャン率
    一般懸賞系:0.01%〜0.05%
    その場で当たる系:0.1%〜0.3%
    ※率は低いですが、母数(来店客数)が巨大なため、総数は大きくなります。

 

②商品パッケージ / 同梱チラシ

商品そのものや、通販の同梱物に印刷された二次元コードです。

計算式:期間中出荷数 × 実売率 × 二次元コードスキャン率

  • 実売率:
    店頭在庫での滞留を考慮し、出荷数の70%〜90%程度を対象とします。
  • 二次元コードスキャン率:
    パッケージ裏面印字:0.1% 〜 0.5%
    マストバイ(シールを集める等):1.0% 〜 5.0%(モチベーションが高いため跳ね上がります)

 

【STEP 3】広告リフトの試算(Paid)

ベースライン(デジタル+リアル)で足りない分を、広告によって獲得する計算です。

▼メディア・手法別ベンチマーク
※商材や時期により変動するため、初期シミュレーションの基準値としてご活用ください。
手法 目的 想定CPA 想定CTR 想定CVR
X(Twitter)広告 拡散・認知 100〜300円 0.5〜1.5% 20〜40%
Instagramフィード 興味喚起 300〜600円 0.8〜1.2% 5〜10%
LINE広告(CPF) 友だち獲得 150〜350円 0.5〜1.0% 40〜60%
Webバナー(リタゲ) 刈り取り 500〜1,000円 0.2〜0.5% 3〜8%

 

実践:統合シミュレーションシート(完全版)

「デジタル」「リアル」「広告」の3要素を統合した、稟議書や提案書にそのまま使える計算表です。

モデル:食品メーカー 新商品マストバイキャンペーン
予算:100万円
店頭POP展開:全国1,000店舗

カテゴリ メディア 規模・変数 反応率 流入数 CVR 獲得数
Digital 自社HPバナー 50,000PV CTR1.0% 500 8.0% 40
Digital LINE配信 20,000人 CTR12% 2,400 20.0% 480
Digital メルマガ 30,000通 OR20%
CTR3%
180 15.0% 27
小計 デジタル資産 - - 3,080 - 547
Real 店頭POP 延べ6,000万人 設置70%
スキャン率0.02%
8,400 15.0% 1,260
Real パッケージ二次元コード 出荷10万個 実売80%
スキャン率0.5%
400 20.0% 80
小計 リアル資産 - - 8,800 - 1,340
Paid Web広告 100万円 CPC50円 20,000 4.0% 800
小計 広告リフト - - 20,000 - 800
合計 総合計 (KPI)
100万円
- 31,880 8.4% 2,687


店頭数字を「絵に描いた餅」にしないために

パラメータ付与は必須
店頭POP用のQRコードには必ず「?utm_source=store_pop」、パッケージ用には「?utm_source=package」などの計測パラメータを埋め込んでください。
これがないと、全て「ダイレクト流入(不明)」になり、効果検証ができません。

営業部門への共有
「POP設置率が10%上がれば、応募が〇〇件増えます」とシミュレーションを提示することで、営業部門のモチベーションを高める材料に使えます。

 

まとめ

目標応募数の算出は、単なるWeb施策の計算ではありません。
デジタル資産だけでなく、「店頭(リアル店舗)」や「商品(パッケージ)」という巨大な物理的資産をKPI設計に組み込むことで、Web担当だけでなく、営業・商品開発まで含めた全社一丸となったキャンペーン目標を作ることができます。
この「3階建てモデル」を活用し、より精度の高い、そして関係者を巻き込めるKPI設定を行ってください。

なお、Dlineはキャンペーンシステムの幅広いラインナップを取り揃えており、シンプルな販促はもちろん、イベント販促にも対応したキャンペーンシステムです。キャンペーンを実施したいという方は、ぜひデジタルラインまでご相談ください。

 
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