ひと昔前であれば、商品棚の目立つ位置に設置したPOPや価格訴求ラベルが“売上を動かす”原動力でした。しかし今、店頭は情報で溢れ、生活者は必要な情報しか“見てくれない”時代です。どれだけ魅力的なビジュアルでも、それだけで行動を引き出すのは難しくなっています。
そこで注目されているのが、「キャンペーン」を活用した店頭販促です。POPが“目を引く”だけで終わらないように、“参加したくなる仕掛け”を組み込み、来店・購入・再来店へと導く、行動喚起型のプロモーション戦略が求められています。
なぜ今、POPだけでは売れないのか?
情報過多による「無視されるPOP」の現実
店頭には毎日、数百点の商品が並び、それぞれが何らかのPOPや価格タグを掲げています。
しかし、消費者が一つの棚で立ち止まり注視する時間はわずか数秒です。その中で埋もれてしまうPOPは少なくありません。特に、パターン化されたテンプレートや価格訴求だけのPOPは視線の“ノイズ”として認識され、無意識にスルーされてしまいます。
価格訴求だけでは動かない生活者心理
かつては「特売」「値下げ」の言葉に敏感だった消費者も、今では“安いから”だけでは動かなくなっています。SNSやレビューでの情報収集が習慣化し、「それが本当に自分に必要なものか」「楽しい体験が得られるか」が購買判断の大きな要素となっています。
つまり、商品そのものの魅力とともに、体験・共感・参加の動機づけが必要なのです。
“動かす”店頭販促に必要な視点
視認性だけでなく「行動導線」設計が重要
POPの役割は、もはや“視認されること”ではなく“行動のきっかけをつくること”に変化しています。商品を手に取らせ、カゴに入れてもらうには、視線の次の“動線”まで設計する必要があります。
例えば、QRコードでキャンペーンページに遷移させる、レシートで応募できるキャンペーンがあるといった、「アクションの導線」が、購入のひと押しとなるのです。
買う理由と参加理由の二重訴求がカギ
例えば「2本買って応募すると賞品が当たる」キャンペーンを展開すれば、“購入理由”に“参加する理由”が加わり、購買ハードルが下がります。
また、「今だけ」「その場で」「全員もらえる」などの限定要素を加えれば、緊急性も演出可能です。
こうした“買う+参加”の2軸で訴求する仕掛けが、現代の店頭販促では効果を発揮します。
キャンペーンと組み合わせた店頭販促の強化術
「買って応募」のレシートキャンペーンで購買動機を強化
キャンペーンと店頭販促の相性は非常に良く、特にレシート応募形式は「購入しないと参加できない」ため購買を強く動機づけられます。
「○○円以上購入で応募可能」「対象商品2点購入で応募可能」といった条件付きキャンペーンを店頭POPで訴求することで、客単価・点数UPを狙うことができます。
インスタントウィン施策で“その場の熱量”を最大化
店頭で購入後にすぐQRコードから応募し、その場で結果が分かるインスタントウィン形式は、購買後の満足感を高め、SNSでのシェアも誘発します。
たとえば「その場で商品の割引クーポンが当たる」キャンペーンなど、即時性のある施策は、売場の活性化に直結します。
店頭販促とキャンペーンを連動させるアイディア
食品メーカー:レシート応募×POP施策
食品売場にて、対象商品2点購入で地元グルメが当たるキャンペーンを実施。レシートをスマホで撮影して応募する形式とし、POPにはQRコードを配置することで、キャンペーンページへの導線をスムーズにします。店頭での露出強化とキャンペーン訴求を組み合わせることで、キャンペーンページからブランドサイトへの流入も増加し、デジタル資産の活用にもつながります。
コンビニ×飲料メーカー:LINEキャンペーンで購買意欲アップ
コンビニチェーンと飲料メーカーが共同で実施する「対象商品購入&LINE友だち追加で、くじに挑戦」キャンペーン。キャンペーン期間中の飲料カテゴリー売上増とLINEの友だち獲得が期待できる内容で、継続的な再来店導線の確保も可能になります。
菓子メーカー×ドラッグストア:スマホ応募キャンペーンで客単価アップ
菓子メーカーがドラッグストアにて「対象商品3点以上購入でギフトが当たる」キャンペーンを実施。レシートをスマホで撮影、専用ページから応募する形式を採用し、棚前POPには購入条件・QRコード・当選イメージを明示することで視認性を強化します。客単価アップと応募ページ経由でのLINE友だち追加を促進することによりデジタル接点を構築します。
家電量販店×家電メーカー:展示体験+その場応募キャンペーン
新商品の体験ブースを活用した店頭プロモーションとして、来場者に「製品体験+その場で応募できるキャンペーン」を実施。体験後、タブレットから抽選ページにアクセスして応募すると、デジタルギフトが当たる仕組みにすることで参加ハードルを下げることができます。商品理解とブランド印象の向上を同時に達成し、キャンペーン後の指名買い率上昇が期待できます。
地域スーパー×地元メーカー:スタンプラリー形式で来店頻度アップ
地方都市のスーパーマーケットと食品メーカーが連携し、「3店舗を巡ってスタンプを集めると応募できる」キャンペーンを実施。デジタルのスタンプ用紙は店頭POPのQRコードからアクセスができるようにし、スタンプは購入レシートを専用サイトにアップロードすることで集めることができます。来店の動機づけに加えて、地域回遊型プロモーションとしての効果もあり、ローカルブランドの認知・支持拡大にも貢献します。
店頭販促を成功に導く5つの設計ポイント
1. 商品理解につながる体験型施策を組み込む
試飲・試食・デモ体験など、「使ってみる」「味わってみる」ことによって購入率は格段に高まります。サンプル提供とキャンペーンを組み合わせることで、参加率も向上します。
2. キャンペーン告知を売場に自然に組み込む
POPや棚札、パッケージなどにキャンペーン情報を自然に配置することで、売場の視認性を損なわず、効果的な訴求が可能になります。特にQRコードの導入は現場でも簡単に実行でき、応募率向上に寄与します。
3. 応募フローの簡略化とスマホ最適化
応募に手間がかかると離脱率が上がります。スマートフォンからスムーズに応募できるキャンペーンLP設計、デジタルギフトとの連動など、ユーザー目線での導線最適化が求められます。
4. インセンティブ設計は“等身大の嬉しさ”を重視
大きな賞品よりも、コンビニ商品や500円程度のギフト券のほうが、身近で応募ハードルが低く参加率が高くなる傾向があります。店舗で「もらえる」「すぐ使える」ことがポイントです。
5. データ取得と次回施策への活用
キャンペーンを通じて得られたユーザー属性や行動データを次回施策に活用することで、継続的な改善が可能になります。LINEやメールなどのチャネルを使い、顧客との接点を維持する仕組みを作ることも重要です。
まとめ
商品力だけでは動かない今、店頭販促は「体験」や「参加」を通じて消費者を“動かす”仕掛けへと進化しています。キャンペーンを組み合わせた店頭施策は、単なる視認だけでなく「買う理由」を作り出し、店舗の売上に直結する効果的なマーケティング手法です。
POPで目を引き、キャンペーンで動かす──そんな“二段構え”の販促を実践することで、変化する購買行動にフィットした売場づくりが実現できます。
なお、店頭販促に最適なレシート・シリアルナンバーを活用したマストバイキャンペーンや、単発ではなく継続的にキャンペーンを実施したいとお考えの方は、ぜひデジタルラインまでご相談ください。
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