企業の販促担当者や広告代理店のプランナーにとって、キャンペーン企画時に最も頭を悩ませるのが「目標応募数(KPI)の設定」ではないでしょうか。
「予算内で何件の応募が見込めるのか?」「その目標値の根拠は何か?」
こうした問いに対し、単に広告予算をCPA(獲得単価)で割るだけの計算では、現代の複雑なデジタルマーケティング環境には対応できません。
本記事では、広告(Paid)とデジタル自社資産(Digital Owned)に加え、メーカー最大の武器である「店頭・商品(Physical Owned)」を統合した、精緻なシミュレーション手法を徹底解説します。
従来型のシミュレーションは(例:「予算100万円 ÷ CPA1,000円 = 1,000件」)という単純なものでした。しかし、これには以下のような致命的な欠陥があります。
自社資産の過小評価:LINEフォロワーやメルマガ会員、Webサイト訪問者など、コスト0円でアプローチ可能なリストが考慮されていない。
「店頭」という最大メディアの見落とし:スーパーやドラッグストアの来店者数は、Web広告のインプレッションに匹敵するが、対象外となっている。
代替策の欠如:予算が削減された場合、広告量を減らすしか手がなく、他手段による補完(自社SNSや店頭施策)が想定されていない。
間接効果の無視:広告による指名検索・ビュースルーなどの相乗効果が加味されていない。
こうした課題を克服するために必要なのが、PESOモデルを拡張した「3階建てモデル」によるKPI設計です。
まずは広告費をかけずに獲得できる「自社資産」からの流入数を見積もります。
既存のデジタル接点からの応募を数値化します。
計算式例:
Web広告とは異なり、「物理的に目にする人数」から「二次元コードを読み込む人数」を推計します。
スーパーやドラッグストアの店頭に設置される販促物です。
計算式:展開店舗数 × 1店舗あたり平均来客数 × POP設置率 × 二次元コードスキャン率
商品そのものや、通販の同梱物に印刷された二次元コードです。
計算式:期間中出荷数 × 実売率 × 二次元コードスキャン率
ベースライン(デジタル+リアル)で足りない分を、広告によって獲得する計算です。
| 手法 | 目的 | 想定CPA | 想定CTR | 想定CVR |
|---|
| X(Twitter)広告 | 拡散・認知 | 100〜300円 | 0.5〜1.5% | 20〜40% |
| Instagramフィード | 興味喚起 | 300〜600円 | 0.8〜1.2% | 5〜10% |
| LINE広告(CPF) | 友だち獲得 | 150〜350円 | 0.5〜1.0% | 40〜60% |
| Webバナー(リタゲ) | 刈り取り | 500〜1,000円 | 0.2〜0.5% | 3〜8% |
「デジタル」「リアル」「広告」の3要素を統合した、稟議書や提案書にそのまま使える計算表です。
モデル:食品メーカー 新商品マストバイキャンペーン
予算:100万円
店頭POP展開:全国1,000店舗
| カテゴリ | メディア | 規模・変数 | 反応率 | 流入数 | CVR | 獲得数 |
|---|
| Digital | 自社HPバナー | 50,000PV | CTR1.0% | 500 | 8.0% | 40 |
| Digital | LINE配信 | 20,000人 | CTR12% | 2,400 | 20.0% | 480 |
| Digital | メルマガ | 30,000通 | OR20% CTR3% |
180 | 15.0% | 27 |
| 小計 | デジタル資産 | - | - | 3,080 | - | 547 |
| Real | 店頭POP | 延べ6,000万人 | 設置70% スキャン率0.02% |
8,400 | 15.0% | 1,260 |
| Real | パッケージ二次元コード | 出荷10万個 | 実売80% スキャン率0.5% |
400 | 20.0% | 80 |
| 小計 | リアル資産 | - | - | 8,800 | - | 1,340 |
| Paid | Web広告 | 100万円 | CPC50円 | 20,000 | 4.0% | 800 |
| 小計 | 広告リフト | - | - | 20,000 | - | 800 |
| 合計 | 総合計 (KPI) |
100万円 |
- | 31,880 | 8.4% | 2,687 |
パラメータ付与は必須
店頭POP用のQRコードには必ず「?utm_source=store_pop」、パッケージ用には「?utm_source=package」などの計測パラメータを埋め込んでください。
これがないと、全て「ダイレクト流入(不明)」になり、効果検証ができません。
営業部門への共有
「POP設置率が10%上がれば、応募が〇〇件増えます」とシミュレーションを提示することで、営業部門のモチベーションを高める材料に使えます。
目標応募数の算出は、単なるWeb施策の計算ではありません。
デジタル資産だけでなく、「店頭(リアル店舗)」や「商品(パッケージ)」という巨大な物理的資産をKPI設計に組み込むことで、Web担当だけでなく、営業・商品開発まで含めた全社一丸となったキャンペーン目標を作ることができます。
この「3階建てモデル」を活用し、より精度の高い、そして関係者を巻き込めるKPI設定を行ってください。
なお、Dlineはキャンペーンシステムの幅広いラインナップを取り揃えており、シンプルな販促はもちろん、イベント販促にも対応したキャンペーンシステムです。キャンペーンを実施したいという方は、ぜひデジタルラインまでご相談ください。